日本の国民皆保険制度
「国民皆保険制度」とは
日本人はすべての人が何かしらの健康保険に加入しています。健康保険への加入は日本に在住するすべての人の義務になっていますので、保険料の支払いをすることに対し煩わしいと感じる人や負担に感じる人もいるかもしれません。しかし収入が低い時も仕事がない時期も躊躇なく病院に行き診察を受けることができるのはこの保険制度のおかげです。
すべての国民が健康保険に加入していて医療行為を受けることができる制度のことを「国民皆保険制度」と呼びます。保険証を提出すれば誰でも3割もしくは1割負担で診察を受けることができます。国民皆保険制度の歴史はそれほど長くなく、1955年頃までは国民の3分の1は医療保険に入っていなかったそうです。しかし1961年に全国で「国民健康保険事業」が始まり今のようにすべての国民が医療保険に入っている状況ができました。
医療保険の種類
医療保険にはいくつかの種類があります。大きく分けると二つあり、まず一つは企業などの組織に雇用されている労働者に対する健康保険です。企業に勤めている会社員は「健康保険」に、公務員は「共済保険」に加入しています。また船員が加入している「船員保険」という医療保険もあります。これらの雇用者保険は、雇用側と労働者が保険料を折半して支払うという特長がありますがこれは、労働者の負担を軽くするために法律でこのことが明記されているためです。
もう一つは健康保険がフリーランスと呼ばれる自営業者や非正規雇用者、退職者などを対象にした医療保険です。「国民健康保険」と呼ばれていて企業に属している会社員や公務員などを除いた人のほとんどがこの医療保険に加入することになります。会社員を辞めた後に入る保険もこの国民健康保険です。
国民健康保険の保険料と恩恵
国民健康保険は会社員の医療保険と違い「全額本人負担」になります。そして国民健康保険もその他の健康保険も保険料は一律ではなく、所得に応じて変動するという特徴があります。会社員は収入の増加が緩やかですし会社が半分負担してくれますので、保険料の増加額に驚くことはありません。しかしフリーランスが加入する国民健康保険の場合は、全額本人負担である上、所得の上下も激しいため、その年によって納付する保険料の額がかなり変動します。
フリーランスになりたての頃は、保険料の金額の多さに驚く人も多いでしょう。しかしこれらの負担を強いられたとしても国民皆保険制度の恩恵はあまりあるといえるでしょう。フリーランスになり仕事が順調ではない時期には、国民健康保険の保険料の額がかなり低くなります。しかし病気になった時は、高額の保険料を支払っている人と同じように3割負担で医療行為を受けることができます。70歳以上になると1割負担で医療行為を受けられる人も多くなります。安心して老後を過ごすためにも大切な制度だといえるでしょう。
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保険料を抑えるための対策
フリーランスになると国民健康保険料の負担が増えますが、確定申告で控除を活用すれば軽減できます。社会保険料控除は、支払った保険料を所得から差し引く制度です。青色申告は、最大65万円控除できる青色申告特別控除があり、所得を大きく減らせます。e-Tax利用か電子帳簿保存が必要です。事業経費もしっかり計上することで、所得を減らし、保険料負担軽減に繋がります。確定申告は複雑ですが、税務署や税理士に相談も可能です。More
非加入の場合
国民健康保険に非加入でいることは不可能です。なぜなら日本は国民皆保険制度を採用しているので、何かしらの保険に入ることが義務だからです。もしも保険料を払わずにいると、督促状がきて滞納者と見なされ、銀行口座を凍結されるなどの「差し押さえ」が執行されます。生活を続けるのが困難な状況になりますので督促を無視することは避けましょう。保険料の支払いが困難な場合は市区町村の役場に相談に行くと、保険料が軽減されることや支払方法を工夫して払いやすくしてくれることもあります。More
社会保険との違い
国民健康保険は社会保険の中の一つである健康保険とは違う点が多数あります。健康保険は会社と本人が保険料を折半して納付しますが、国民健康保険は本人が全額負担します。家族の保険料も大きく違うため、家族が多い人は国民健康保険に切り替えると納税額が増えそうです。また出産手当金などの補償されるポイントも健康保険のほうが充実しています。自由に働ける反面、労働者が加入する健康保険よりも国民健康保険のほうが不利な面が多いです。More
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忘れてはいけない国民年金
フリーランスになったら健康保険から国民健康保険に切り替えます。忘れてはいけないのが「年金の切り替え」です。会社員時代の「厚生年金」から「国民年金」への切り替えの手続きも行いましょう。国民年金は支払方法が自由に選べます。納付書を利用して銀行やコンビニで納付する方法や口座振替、クレジット払いなどの方法があります。また1年分の保険料を前納する方法もあり、市区町村によっては5000円程度保険料が減額されるなどのメリットがあります。どうせ払うものならば前納をしたほうがお得かもしれません。More
独立したらまずは健康保険の手続き
会社を辞めてフリーランスとして独立をしたら、まずすべきことが「健康保険の手続き」です。国民健康保険への切り替えの窓口は市区町村の役場ですので、必要書類を持って退職日から14日以内に手続きを済ませるようにしましょう。健康保険の任意継続をする人は、退職日から20日以内に手続きを行います。退職前に国民健康保険か任意継続かどちらかを選んでおくと期限内にスムーズに手続きが出来るでしょう。どちらの保険料が得かを調査しておくことも大切です。More
継続して加入できる「任意継続」
会社を辞めると健康保険に加入することができなくなりますので、国民健康保険に切り替えることになります。しかし以前の会社に2か月以上勤務していて健康保険に加入していた人、退職後20日以内に手続きが出来る人などは最大2年間「健康保険の任意継続」をすることができます。ただし会社員時代は会社と折半していた保険料がフリーランスになると全額負担になり、納付する額も今までの倍になります。More